小規模個人再生か給与所得者等再生か

個人再生手続には小規模個人再生給与所得者等再生の2種類の手続があります。

 

簡単にご説明しますと、小規模個人再生は債務額の5分の1か清算価値(財産目録に計上される財産の総額)のいずれか高い方の金額を基準にして返済する手続で、一方の給与所得者等再生は債務額の5分の1、清算価値に加え可処分所得額2年分のいずれか高い方の金額を基準にして返済する手続です。

 

では、一体どちらの手続を選べばいいのでしょうか。



大前提として、自営業者の方小規模個人再生しか利用できませんが、給与所得者(いわゆるサラリーマン)はいずれの手続も利用することが出来ます。



それを前提としてみた場合に興味深い統計があります。裁判所の統計によると平成22年に大阪地裁に申し立てられた個人再生事件1411件のうち小規模個人再生は1292件だったそうです。

およそ9割が小規模個人再生を利用したことになるわけです。(補足:現在でも概ねこの傾向は続いています)



この理由としては給与所得者等再生における弁済総額の基準となる可処分所得額2年分が思わぬ高額になる傾向にあることが考えられます。

 

小規模個人再生なら100万円の弁済で済むのに、給与所得者等再生なら200万円を超えることも少なくありません。



しかし、弁済総額を抑えることができるからといって小規模個人再生を選んでも、小規模個人再生では、再生計画案に同意しない旨の回答をした債権者が債権者総数の半数以上いる場合、または同意しない旨の回答をした債権者の債権額が債権総額の2分の1を超えた場合は手続が廃止されてしまいます。



個人再生手続を考えておられる方のご相談を聞いていると、最近の傾向として過半数債権を持っている債権者が存在する場合が多いように感じます。

 

いわゆる「おまとめローン」がその原因として挙げられます。おまとめローンが可能なのは銀行系のローン会社であることが多く、当然貸し出しの際に与信調査を綿密にしていますので、独自に可処分所得額の計算をすることが可能なわけです。

 

そういうこともあって小規模個人再生で申立をした場合、再生計画案に同意しない傾向が高くなっているように感じます。



先日、書類作成をお受けした方の件では、銀行系ローン会社から「小規模個人再生を考えておられるかもしれませんが、こちらで計算したところ、給与所得者等再生でも充分弁済できると判断しています。

 

事情があればご相談に乗りますが、ご相談もなく小規模個人再生で申立をされた場合は同意しかねますので、当初から給与所得者等再生での申立を検討して下さい」との連絡を受けました。



小規模個人再生での手続が廃止されてしまうと、給与所得者等再生で改めて申立をするか、任意整理自己破産の検討をしなくてはなりません。

 

このため、債権者数が少ない場合や過半数以上の債権を持つ債権者がいる場合は慎重に手続を選ぶ必要があります。



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